ビーガンとは、動物性製品の使用に反対するライフスタイルのことを指します。
革や毛皮などといった動物性素材を使った衣服や工業製品などを使わないといった活動のほか、徹底した菜食主義も行います。
もしかしたら菜食主義と聞くと、肉を食べないというイメージが強い方もいるかもしれません。しかし、基本的にビーガンは肉だけでなく魚や魚介類も食べません。
それではビーガンが魚を食べない理由とは一体何なのでしょうか?また、魚の代用として食べるものとは何なのでしょうか?
今回はビーガンが魚を食べない理由と、魚の代わりに食べるものについてご説明します。
Table of Contents
ビーガンとはどんなライフスタイルか?
ビーガンとは、動物性製品の使用に反対するライフスタイルのことです。イギリスのビーガン協会によると、ビーガンとは「人間が動物を搾取することなく生きるべきであるという主義」として説明されています。
特にビーガンは食事においては徹底した菜食主義を貫くことで有名です。動物性食品を徹底して摂取しないことから、完全菜食主義と呼ばれることもあります。
動物性食品と聞くと、肉をイメージされる方が多いかもしれませんが魚も動物に含まれます。したがって、ビーガンは肉だけでなく魚も食べない食生活を送ることになります。
それでは、ビーガンが魚を食べない理由は何なのでしょうか?
ビーガンが魚を食べない理由
ビーガンが魚を食べない理由は3つあります。
倫理的な理由
第一に、ビーガンが魚を食べない理由として魚の命を奪うということに関する倫理的な理由が挙げられます。
魚は生息域である海や川から引き上げられた時点から、既に身体の表面を怪我をしたり、内蔵が飛び出したりするなどのダメージを受けることになります。流通の過程で仮死状態、あるいは窒息死になり、最終的には人間に食べられます。
現時点の研究では魚に痛覚があることが分かっており、さらに恐怖を感じる能力もあるのではないかと言われています。
そのため、痛覚を持つ生物を殺して食べるという行為が残虐なのではないかという議論があります。
こうした倫理的な観点が「人間が動物を搾取することなく生きるべきであるという主義」に反しますので、ビーガンは魚を食べません。
環境保護的な理由
第二に、ビーガンが魚を食べない理由として環境保護的な理由が挙げられます。
世界的に過剰な漁獲が問題になっており、一説によると魚資源の約85%が乱獲または枯渇していると言われています。
魚を根こそぎ取り尽くすことで、特定の魚が絶滅してしまうという危険はおろか、海の生態系のバランスまで崩れることが予想されています。
海の生態系が崩れると、海を通じて繋がっている他の様々な海洋生物もまた絶滅の危機に瀕してしまいます。
持続的な漁業に注目する流れが出来てきつつありますが、やはり海の環境のために最も効果的なのは魚を食べないこと。
ビーガンには環境に対する意識が高い人が多いので、環境保護的な理由から魚を食べないという選択をする人がいます。
健康的な理由
最後にビーガンが魚を食べない理由として挙げられるのが健康的な理由です。
ビーガンのライフスタイルを選択する人は、一般的に健康意識が高い傾向にあるというデータがあります。
魚には、オメガ3、DHA、EPAなどといった優れた栄養素が含まれています。しかし一方、海洋汚染が進んでしまっている現代においては、魚の体内に有害な物質もまた多く含まれていると言われています。
海の中に漂う汚染物質を魚が体内に取り入れ、生態系での食物連鎖を経て蓄積していく現象は生物濃縮と呼ばれますが、人間が魚を食べ続けることで人間の体内にも同じことが起こります。
特に水銀やマイクロプラスチックなどが健康に対する有害物質として知られており、人体への影響が懸念されています。
健康意識が特に高いビーガンの人にとって、魚を食べるメリットよりデメリットが上回ると判断することは不思議なことではありません。
したがって、ビーガンの中には健康的な理由から魚を食べない選択をする人がいます。
ビーガンが魚の代わりに食べるもの
ここまでビーガンが魚を食べない理由について解説しました。それでは、ビーガンが魚の代わりに食べるものとは一体何でしょうか?
魚に豊富に含まれている栄養素をサプリメントだけで代用するという人もなかにはいますが、味気がなく魚の代わりに食べているとは言い難いでしょう。
最も一般的に食べられているものは、植物性食品のみで作られたプラントベースフードという食べものです。
プラントベースとは、野菜や果物を中心にナッツや豆類などから出来た植物性の食事を選択するスタイルのこと。したがって、プラントベースフードには一切動物性食品が使われていないので、ビーガンでも安心して食べることができます。
プラントベースフードの中には豆腐や野菜を魚に見立てて調理する「もどき料理」もあれば、植物性食品なのにまるで魚のような見た目や味わいをもつ「魚の代替品」などもあります。「魚の代替品」については過去の記事(参考URL:植物性で魚は再現出来るか?可能性を秘めるプラントベースフィッシュ)でも解説しています。 上記のことをまとめると、ビーガンは魚の代わりにプラントベースフードを選択していると言えるでしょう。
まとめ
今回は、ビーガンが魚を食べない理由と魚の代わりに食べるものについて解説しました。
基本的に、ビーガンは倫理・環境保護・健康といった観点から魚を食べません。ビーガンは魚の代わりにプラントベースフードを選択しています。
ただし実際には、ビーガンを始めとする菜食主義の種類は実に多用であり、魚や魚介類を食べても良いとするペスコ・ベジタリアン(ペスカトリアン)やシーガンといった菜食主義のスタイルも存在します。
詳しくは過去の記事(参考URL:菜食主義の徹底解説!これで分かるビーガンとベジタリアンの種類、魚介類も食べるビーガン!菜食主義の「シーガン」とは何か?)でも解説していますので、興味のある方は違いを見てみるとより理解が深まると思います。