植物性料理とは、野菜や果物をベースに作られた料理のことでプラントベース食とも呼ばれます。肉や魚を使わずに調理をすることから様々なバックグラウンドの人達に支持されています。
いまプラントベース食が急速に広まりつつあるアメリカ。国民一人あたりの野菜の摂取量が日本人とアメリカ人の間で逆転減少が起きている話について前回の記事(参考記事:ベジタリアンが多い国ランキングTOP10!日本は野菜不足…?)で少し触れました。
プラントベース食のメイン食材は野菜です。今回は植物性料理に欠かせない野菜について、日米の意識調査の内容についてご紹介します。
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日本人とアメリカ人が好きな野菜TOP5
種苗業界大手のタキイ種苗が行った20歳以上の男女600名に対する「2019年度 野菜と家庭菜園に関する調査」によると、日本人の好きな野菜は次の順位となっています。
1位 トマト(68.2%)
2位 タマネギ(65.3%)
3位 トウモロコシ(65.2%)
4位 ジャガイモ(64.5%)
4位 エダマメ(64.5%)
まず1位はトマト(68.2%)で、同社の過去の調査も含めると11年連続の1位のようです。また、2位はタマネギ(65.3%)で、3位はトウモロコシ(65.2%)、同率4位でジャガイモ(64.5%)、枝豆(64.5%)と続いています。普段の家庭の食卓や外食などでもよく見かける野菜がランクインしています。
(http://www.takii.co.jp/info/news_190808.html)
次にアメリカで人気のある野菜は何でしょうか。
OnePollがVeggieTracker.comを対象に実施した2000人の消費者の投票によると、アメリカ人が好きな野菜は次のような順位になっています。
1位 トウモロコシ(91.4%)
2位 ジャガイモ(91.2%)
3位 ニンジン(89%)
3位 トマト(89%)
5位 タマネギ(87%)
1位はトウモロコシ(91.4%)で、2位は僅差でジャガイモ(91.2%)、同率3位でニンジン(89%)、トマト(89%)、5位にタマネギ87%と続いています。
(https://nypost.com/2019/06/17/these-are-americas-favorite-vegetables-and-most-hated/?utm_campaign=SocialFlow&utm_medium=SocialFlow&utm_source=NYPTwitter)
日米で比較してみると、好きな野菜のトップ5位のうちなんと4つの野菜が、順位こそ違うもののランクインしています。こうしてみると、日米で人気のある野菜は非常に似通っており、順位に大きな違いは見られないようです。
もっと野菜を食べたいアメリカ人
前回の記事(参考記事:ベジタリアンが多い国ランキングTOP10!日本は野菜不足…?)でアメリカ人の野菜の消費量は増加しているのに対して、日本人の野菜消費量が減少傾向にあり反対の動きをしているとご紹介しました。アメリカ人の野菜の消費量は1993年を境に日本人を追い越し、いまの日本人はアメリカ人より野菜を食べていないことになります。両国とも好きな野菜は似通っているものの、野菜の摂取量は大きく差が開いているようです。
そんな日本人よりも多くの野菜を食べているアメリカ人ですが、前述のOnePollによる同調査によるとアメリカ人の72%が「現在よりも多くの野菜を食べたい」と答えていて、まだまだ野菜を食べたりないといった様子が感じられます。
また、アメリカ人の67%が、「食事で野菜を食べ損ねた時に罪悪感を感じる」と回答していることからも分かる通り、いまやアメリカ人の野菜を食べる習慣は、ビーガンの消費者だけにとどまらず、普通の食生活を送る消費者の中にも普及しているようです。
野菜を食べたくても食べられない理由とは
食品大手の総合メーカーであるカゴメ株式会社が2019年に発表した全国の男女4680人(10~69 歳)を対象にした「カゴメ野菜定点調査」によると、野菜を食べない理由に関する問いとして「調理する時間がないから」(25.2%)が最も多い原因として挙げられています。続いて「野菜を調理するのが面倒だから」(21.9%)「一度にたくさんの量を食べられないから」(17.9%)「自分では今の量で十分だと思っているから」(13.6%)「野菜の価格が高いから」(11.4%)の順で理由が挙げられています。(https://www.kagome.co.jp/syokuiku/knowledge/research/teiten03/)
一方で前述のOnePollによる同調査ではアメリカ人が野菜を食べない理由を聞くと、「野菜を食べる機会がないうちに腐ってしまうから」(25%)「野菜が高すぎるから」(25%)「野菜を手に入れずらい」(24%)「準備に時間がかかりすぎるから」(22%)、「調理方法がわからないから」(19%)との回答があるようです。
日本の「調理する時間がないから」とアメリカの「準備に手間取る時間がかかるから」は相通じる理由のようです。また「野菜の価格が高いから」も共通する理由です。しかし、それ以外の回答は少し方向性が違うようです。
これらの結果の違いについては、それぞれ生活を取り巻く背景が違う点についても整理する必要がありそうです。例えば、日本では手料理に重きをおく人が多い一方で、調理の時間が足らず野菜がうまいように取れず困っているという状況に対し、アメリカでは野菜を手軽に取れる調理キットやスムージーなどの加工品が多く野菜を摂取しやすい環境にある一方で、いざさらに野菜を食べようと料理にトライした場合に野菜をどう扱ったら良いかまだ分からないとった状況もみえてきそうです。
植物性料理は野菜摂取量のアップに貢献できる
野菜はサラダなど生のままで食べようとすると嵩があるので食べる量が限られます。野菜をより多く摂取しようと思うなら、調理された料理を食べる方が向いています。そのことを考えると、植物性料理はまさに野菜をもっと食べたいという人達にうってつけの存在だと言えそうです。
野菜を食べたいのに食べられない理由について見てみると、植物性料理のレシピ開発や商品開発のヒントが見えてきそうです。
まとめ
今回は日米両国の野菜に関する意識調査に焦点を当ててお話しました。
調査によると野菜を食べたいけれどどう取り入れたら良いのか分からないという悩みが見えてきました。特に日本では野菜摂取量の不足が長らく指摘されています。
植物性料理はそんな野菜摂取の不足に対する一つの解決策を提示できそうです。植物性料理が野菜摂取量のアップにどう貢献出来るのかといった視点も今後植物性料理を広めていく上での訴求ポイントとして考えていくと良いかもしれません。