日本では少しずつベジタリアンやビーガンのライフスタイルが認知されてきてはいるものの、実践している人はまだまだ限られています。では、外国での菜食主義者と非菜食主義者の割合はどのようになっているのでしょうか?
今回は植物性料理を摂取する人の割合が多い国についてランキング形式でご紹介するとともに、現在の日本人がどのような食生活をしているのかについてご紹介します。
目次
ベジタリアン人口の割合が多い国
植物性料理を好む人の割合がどの国で多いのかについて知るために、ベジタリアンの人口の割合が多い国について調査したデータについてご紹介します。
Countries With The Highest Rates Of Vegetarianismによると、ベジタリアンの人口の割合は高い順に次のようなランキングになっています。
1位 インド(38%)
2位 イスラエル(13%)
3位 台湾(12%)
4位 イタリア(10%)
5位 オーストリア(9%)
6位 ドイツ(9%)
7位 イギリス(9%)
8位 ブラジル(8%)
9位 アイルランド(6%)
10位 オーストラリア(5%)
(https://www.worldatlas.com/articles/countries-with-the-highest-rates-of-vegetarianism.html)
1位のインドではなんと人口の38%がベジタリアンとされています。その主な理由は宗教によるもので、同じく2位のイスラエルも宗教上の理由で肉食が禁じられているが故に菜食主義者の割合が高い国です。3位の台湾に関しても、もともとの台湾素食の影響もあり野菜中心の食生活が根付いているのが高順位に影響しているようです。
上位3国が宗教や伝統的な食生活の影響で植物性料理を好む人の割合が多い一方で、欧米においては、環境保護や動物愛護、健康志向などのライフスタイルの変化という観点から植物性料理を好む人が増加傾向にあるようです。
こうした菜食主義者の人口の増加に応じて需要が高まるなか、新たなMODOKI料理が開発されるなどして専門レストランや、一般的のカフェやレストランにも植物性料理のメニューが置かれるようになるなど変化してきています。
日本人の食生活の変化
一方、日本人の食生活はどのように変化してきているのでしょうか。
ベジタリアンやビーガンの国内調査は諸説あるので、ここでは厚生労働省公表の2013年の国民健康・栄養調査結果についてご紹介します。このデータによると、1人1日当たりの魚介類の摂取量は83g(2003年)→73g(2013年)と減少する一方で、肉類の摂取量は73g(2003年)→90g(2013年)と増加する傾向にあります。
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」魚介類の摂取
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」肉類の摂取量
また、2015年農林水産省の「野菜の消費をめぐる状況について」によると、1人1年当たりの野菜消費量の推移は15年間で減少傾向です。
全ての年代で魚介類の消費量が減っている一方で、全ての年代で肉の消費量が増えていることから全体的に見ると日本人は魚を食べる代わりに肉を食べる食生活へと変化してきているようです。
特に前述のデータでは中食・外食産業分野での肉食化も指摘されており、野菜消費量の低下もあわせて日本ではまだまだベジタリアンやビーガンの動きは活発ではないようです。
アメリカ人の野菜の摂取量
アメリカはベジタリアン・ビーガン人口の増加が近年特に注目される国ですが、同じ出典に野菜消費量の推移があったのでご紹介します。
アメリカ人の野菜の消費量は80年代から2009年の約30年にかけて増加傾向です。日本人の野菜消費量が減少傾向にあることを考えると反対の現象が起こっています。アメリカ人の野菜の消費量は1993年を境に日本人を追い越し、いまの日本人はアメリカ人より野菜を摂取していないことがわかります。
このことを踏まえると、よく肉食のことを「食の欧米化」などと言いますが、この表現についても考え直す必要があるかもしれません。
まとめ
今回は今回は植物性料理を摂取する人の割合について海外のデータをランキング形式でご紹介するとともに、日本人の食生活がどのように変化してきているかについてのデータをご紹介しました。
既存の宗教や伝統的食生活に加え、ベジタリアンやビーガン人口が世界的に増加していくなかで植物性料理の需要は今までになく高まってきています。一方で、日本では肉食化が進んでいたり、野菜の摂取量が減っていたりと世界の食のトレンドとはズレがあることがわかりました。
しかし欧米のビーガンフードが肉食を代替するMODOKI料理という形で進化を遂げているということを考えると、日本の現状はそう悪いことばかりでもありません。現在の肉中心の献立が植物性のMODOKI料理に置き換えられるチャンスがまだまだあるからです。
植物性料理・MODOKI料理をこれから広めていく上では、食のトレンドにおける海外と日本との違いをまず抑えた上で作戦を立てていく必要がありそうです。