一昔前、一歩も外に出ずに外食の味を楽しむには電話で頼む出前という仕組みしかありませんでした。特に多くの人達の集まる場面などでは、蕎麦や寿司などの出前は大変役に立ったものです。しかし、そのような出前をやっているお店は限られていました。
令和になったいま、世の中には様々なフードデリバリーの形があります。私達は家に居ながらにして、多くの飲食店から提供されるメニューを気軽に比較、検討して注文することが出来るようになりました。
飲食業は消費者の食のトレンドを敏感にとらえ、変化していく業種です。いまどんなフードデリバリーが人気なのかを見ていくことで食生活の変遷を捉えることが出来ます。プラントベースもその例外ではありません。
今回はアメリカではどんなフードデリバリーが人気なのか、そして日本ではどんな傾向があるのかについてフードデリバリー各社のデータをご紹介します。
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アメリカのフードデリバリーでも人気のプラントベースフード
全米有数のフードデリバリーを運営するGrubhub(グラブハブ)は毎年最も注目されたフードデリバリーのレポートを発表しています。このレポートでは2100万人以上の顧客が注文した食べ物の内容が分析されており、アメリカでいま人気のある味や食べものについて分かります。
2019年「Year in Food」の調査結果によると、最も人気のあったTOP10のメニューは次のようなものになっています。
1位-カリフラワーピザ:昨年比650%
2位-辛い芽キャベツ:昨年比622%
3位-ポートベッロ エンパナーダ:昨年比601%
4位-黒豆とサツマイモのタコス:昨年比513%
5位-味噌豚ラーメン:昨年比413%
6位-チキンバーガー:昨年比318%
7位-ボーンブロススープ:昨年比298%
8位-黒糖ミルクタピオカティー:昨年比281%
9位-ビーガンパッタイ:昨年比280%
10位-インポッシブルバーガー:昨年比203%
ハンバーガー、ピザ、タコスなどは定番の人気商品ですが、このデータでは昨年度と比較して伸び率の高いメニューをTOP10としています。
アメリカで2019年のフードデリバリーのうち、最も新たに人気を博したメニューの第1位はカリフラワーピザという結果でした。カリフラワーは栄養価が高く、ヘルシーかつ満腹感が得られることから、アメリカにおいて人気が高まっている野菜の1つです。例えば、カリフラワーを砕いたものを蒸してご飯の代わりとするカリフラワーライスなどをはじめとした、「カリフラワーフード」は近年人気を博しています。2018年度の同レポート結果でもカリフラワーフードが2つランクインしており、継続的な人気が伺えます。日本でも糖質オフのロカボ食として外食で扱うところも出てきました。
その他、第4位の黒豆とサツマイモのタコスや第9位のビーガンパッタイなどは名前から察するにいかにもプラントベースフードといった雰囲気です。しかし、実はプラントベースフードはこれだけではありません。このランキングTOP10のうちなんとビーガンフレンドリーなメニューは7つもあります。つまり、このランキングからアメリカにおいてプラントベースフードの人気が著しく高いことが伺えます。このことから、アメリカのプラントベース人気は本当だと言えそうです。
フードデリバリーでもプラントベースミートの選択肢広がる
前述のTOP10ランキングの中にはインポッシブルバーガーも昨年度比200%超えでランクインしています。インポッシブルバーガーとは、植物性100%の原料で作られたアメリカ発の企業インポッシブルフーズが手掛けるプラントベースミートです。消費者の意識の高まりはもちろんのこと、全米内で供給が進んでインポッシブルバーガーを使用する飲食店が増えたことからランクインに繋がったようです。
同レポートを比較すると、ビーガンフードの注文数は2018年と比較して、2019年全体で27%増加しています。
ちなみに、2019年の肉の代替オプションのみで比較した場合の人気は以下の順になっています。
1位-インポッシブルバーガー
2位-黒豆バーガー
3位-豆腐
4位-きのこバーガー
5位-ジャックフルーツ
インポッシブルバーガーだけではなく、その他にも黒豆やきのこをベースにしたものなど様々なプラントベースミートがフードデリバリー界に登場していることが伺えます。また、豆腐やジャックフルーツなども肉の代替品として人気が高いことが分かります。肉の代替品の選択肢の増加が、フードデリバリー選択の際のプラントベースフードの人気に一役買っていると言えそうです。
日本のフードデリバリーのトレンドは台湾料理
アメリカで最も伸びたデリバリーメニューはカリフラワーピザでした。さて、それでは日本はどうでしょうか。
日本最大級の宅配ポータルサイト出前館のデータを分析した出前総研によると、日本の2019年のフードデリバリーで最も伸びたメニューは台湾の大衆料理である魯肉飯(ルーローハン)で、昨年度比421%増の結果になったようです。タピオカミルクティーのブームをきっかけに台湾料理の注文が増加し、その他の台湾料理である「排骨飯(パイコーハン)」や「豆花(トウファ)」も2019年に入って人気が高まったようです。
ちなみに、2019年度の上半期だけのデータでは、最も伸びたメニューはタピオカミルクティーで、前年同期比で3820%でした。(https://corporate.demae-can.com/files/6d6e9a91b3ee7ea5fd039310a3c711f78477dd5d.pdf)
こちらのデータでは、ランキング形式ではなくトップのメニューのみなので、日米との単純な比較は難しいかもしれません。
しかしながら、こうした情報を定点で観察してみると食生活のトレンドが過去の変遷とともに理解出来ます。今後、日本でもプラントベースフードが多く登場することになれば、フードデリバリーにも影響がある可能性があります。
まとめ
今回はフードデリバリーについての最新データをもとに、いま日米ではどんな食べ物が宅配として好まれているのかについてご紹介しました。
トレンドのメニュー名を見ると、日米の違いや過去と現在の違いなども見えてくるので大変興味深いですね。アメリカでは、2019年度はプラントベースフードがTOPに7つも入るなど大躍進の年だったようです。今後の動向も気になるところです。