いま世界中で菜食主義の食生活を送っている人が増えています。その代表格なのはビーガンです。日本でこのライフスタイルを取り入れる人達も徐々に増えてきています。
ビーガンは肉や魚、動物由来の食べものを摂取しない厳格な完全菜食主義者のことを指します。はちみつや牛乳、卵なども動物由来の食べものに含まれるので食べることはしません。そのためビーガンは動物性食品を取らない代わりに、植物性料理(プラントベースフード)を食べています。
ビーガンというライフスタイルを知った人が真っ先に気になる情報とは、野菜や果物だけの食生活が果たして健康に良いのか?悪いのか?ということでしょう。ここでは海外のビーガン先進地域から得られたデータをもとにビーガンが健康に良いのかどうかという研究内容についてご紹介します。
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ビーガンは健康に良い?悪い?
ビーガンは肉や魚などの食品を一切断ち、植物性料理だけを摂る食生活をしています。このビーガンのライフスタイルを選択する人口が急速な勢いで広まっているのが欧米諸国です。もともとそれらの地域は肉食文化が強い地域でもあります。
そのため、従来の肉食からビーガンへの転向にあたって、肉を食べないことで健康の維持は十分なのか、健康が悪化してしまうのではないかと心配する人も多くいます。
そのような背景の中で、菜食主義者と非菜食主義者を比較するような研究は欧米で盛んに行われています。以下にアメリカでの研究をいくつか例に挙げてみます。
肉食を辞めると死亡リスクが下がる?
まず2016年3月に全米科学アカデミーで発表されたデータを引用しながら食生活の変化による健康リスクの差についてみてみます。
ミネソタ大学による「食生活の変化による健康と気候変動のコベネフィットの分析と評価」のデータでは、食生活を3つのグループに分けて2050年後の人々の健康状態について説明しています。集団の内訳は国際ガイドラインに基づいた健康的な食生活をした通常のグループとベジタリアン、ビーガンの3つです。
この研究の中で最も健康的なのはビーガン、次にベジタリアン、最後に通常のグループと言う結果でした。ビーガンは通常の食生活グループに比べて年間810万人の死亡を防ぐことが出来るとなっています。肉の消費が減少するという点と、より多くの果物と野菜を食べるようになるという点の組み合わせにより、総カロリー量が減少します。
これにより、太りすぎや肥満の人が少なくなり、病気による死亡リスクが下がるという内容になっています。
(https://www.pnas.org/content/early/2016/03/16/1523119113/tab-figures-data)
他にも2013年に発表された米国医師会の研究では、7万人に対して6年間の調査を行っています。この中では、菜食主義者は非菜食主義者と比較して死亡リスクが12%低く、より長生きであるとの結果を発表されています。 (https://media.jamanetwork.com/news-item/vegetarian-diets-associated-with-lower-risk-of-death/)
つまり、これらの研究結果を踏まえると菜食主義の食生活を送っている人は肉食の生活を送っている人よりも健康的であると言えそうです。
日本人が参考にできることとは
食に関する調査は国によって食生活が大きく異なるため、日本でもこれらの結果が必ずしも一致するとは限りません。ただし、厚生労働省による日本人の食生活の推移のデータでは、例年日本人の野菜や食物繊維の摂取量が減少傾向にある一方で、脂質の摂取量が増加傾向にあり、生活習慣病の増加との関連性が指摘されています。
菜食主義者の食生活は肉を食べず、果物と野菜をより多く食べることから健康的であるという上記の研究結果は、現代の日本人の食生活から見たうえで参考にできることもありそうです。
まとめ
今回はビーガンの食生活は健康に良いのかという視点から食にまつわる複数の研究結果についてご紹介しました。
これからますますの拡大が予想される植物性料理。日本ではビーガンのライフスタイルについてまだまだ理解が浅いなかで、植物性料理も浸透の余地があります。植物性料理はヘルシーな食生活の実現にプラスになる取り組みといった方向からの訴求も期待できそうです。